2011年10月22日

「あこがれのヴェネチアン・グラス」展 ①

サントリー美術館で開催されていた「あこがれのヴェネチアン・グラス」展に行って来ました。

ヴェネチアン・グラスの展示も素晴らしく、又その技術が他国に渡る事により出来上がった素晴らしいヴェネチア様式の作品、現代の作家の方々の作品などが数多く展示され、ヴェネチアン・グラス500年の歴史を見る事の出来る素晴らしい展覧会でした。

「ぶらぶら美術館・博物館」で「あこがれのヴェネチアン・グラス」展の放送がされていました。とても参考になりましたので、その番組内容も交えて展覧会の模様を書きたいと思います。

展覧会は
Ⅰ ヴェネチアン興隆ーー技術の応用
Ⅱ 流出したヴェネチアンーー「ヴェネチア様式」の誕生
Ⅲ ヴェネチアンと和ガラス
Ⅳ ヴェネチアン再興ーー19世紀イタリア
Ⅴ 今に息づくヴェネチアンーー現代アートへの影響
の項目に分かれて展示がされていました。

Ⅰ ヴェネチアン興隆ーー技術の応用

ヴェネチアで、いつ頃からガラスが作られ始めたのか。その問いに、未だ明確な答えは出ていない。ただし、文献資料から、982年には「瓶ガラス職人のドメニコ」なる人物がいたことがわかっている。海洋国家ヴェネチアは、10世紀後半以降、イスラム諸国や東方との交易に積極的に乗り出していった。これら地域の発展した文化を知り得る状況と、経済的繁栄に支えられ、初めはコップや瓶など、シンプルな日用品が中心だったガラス製造も、次第に理化学用品や鏡などに発展していった。1268年、ガラス同業組合が結成されると、政府による統制も強化され、1291年には、全てのガラス職人がムラーノ島に集中移住させられる。こうした背景の中で、14世紀頃までには、来るべき芸術品としてのヴェネチアン・グラスの土壌が、十分に整備されていった。
 クリスラルのように曇りのない、限りなく無色透明に近いガラス素地「クリスタッロ」。1450年頃、アンジェロ・バロヴィエール(1460年没)を中心に開発されたこの素地が、その後17世紀へと続くヴェネチアン・グラスの栄華を方向づけたと言っていいだろう。職人たちは、これを活かすべく、薄く軽快に吹くことに神経を傾け、多様な技法を編み出していった。当初、イスラム圏から移住した職人の影響により、エナメル彩や金彩を用いた色鮮やかな器が登場したげ、16世紀に入ると、ヴェネチアのもうひとつの伝統技法ニードル・レースの繊細さをガラスに応用して、ダヤモンドポイント彫りや、乳白色ガラスを編み込んだレースグラスなど、よりエレガントな器が発展した。また、艶やかな表面に亀裂を生じさせるアイスクラックは、ガラスの透明性を逆説的に表現した職人技である。

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舟形水差 ヴェネチア 16-17世紀
飾りとして使われたもので、ガラスののびやかさと透明性に注目します。開発された素材をクリスタッロ(クリスタルの様に無色透明透明と言う事を意味します)と呼び、此の素材が出来た事に依りヴェネチアン・グラスが花開いて行きます。
実際に見るとその透明感の素晴らしさに魅了されました。

ヴェネチアン共和国では独自に生み出したガラス製造の技術が他国に流出する事を防ぐ為にガラス職人達を沖合に浮かぶムラーノ島に移住させました。そこまでしてガラス製造の秘密を守ろうとしました。

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ムラーノ島

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エナメル彩 ゴブレット ヴェネチアン 1500年頃
15世紀から16世紀にかけて開花したヴェネチアン・グラスの中でも、エナメル彩はビザンチンやイスラムの影響をうけて発展したという。シリアのアレッポやダマスカスのエナメル技法が、絵付師の移住とともにヴェネチアンに伝えられて。15世紀にはムラーノの職人達に習得されたろ推測される。この杯のすずらんのようなエナメル彩の模様や、形吹きによる編み目模様も、イスラム・グラスに共通する造形です、また、口線部に施された点彩模様は、この頃のヴェネチアン・グラスの彩色に代表的な装飾です。

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エナメル彩 ゴブレット ヴェネチアン 1500年頃
イスラムや東方のガラスと装飾模様での共通性が指摘される中で、ヴェネチアン・グラスには、ヨーロッパに馴染み深い、古典的かつ神話的な人物や風景が絵付けされた物は少なくない。この杯に描かれているのは、ギリlシャ神話に登場するポセイドンの息子・海神トリトンらしき人物像。通常、人間の上半身に人魚のような魚の尾をもつ姿で描かれるが、ここでは下半身以下は装飾化し、ふたりが向き合って配置されている。おそらく、古代ローマの壁画などからモチーフのインスピレーションを得てものと思われる。

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エナメル彩脚付鉢 ヴェネチア 16世紀
若干灰色がかったクリスタッロを薄く円形に吹き、脚台を熔着した脚付鉢。周囲を赤、灰色のエナメル彩と金彩による点彩文様が巡る。こうした浅い皿に短い脚のついたガラス鉢は、16世紀前半のヴェネチアン・グラスに多く見られる形状で、絵付け装飾とともにイスラム・ビザンチンの影響が見て取れます。この鉢の中央に描かれたくつろいだ姿の馬(あるいはロバ)のモティーフも、エキゾチックな風情が漂います。

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ダイヤモンドポイント彫り脚付鉢 ヴェネチア 16世紀末ー17世紀初頭

ダイヤモンドポイント彫りは、ダイヤモンドやガーネットなどの硬い石を用い、ガラスの表面を引っ掻いて文様を付ける技法です。古代ローマ時代に始まり、イスラム・グラスにも用いられました。ヴェネチアでは、ガラスと並ぶ伝統工芸の一つ、ブラーノ島のニードル・レースの風情を再現しようと、1530年頃から使用されるようになりました。
繊細な模様は本当に美しいと思いました、ダイヤモンドポイント彫りはとても魅力的です。

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ニードル・レース

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レースグラス蓋付ゴブレット ヴェネチア 16世紀
レースグラスはクリスタッロとラッティモ(乳白色グラス)の開発なくしては成し得ない。ラッティモは、遅くとも15世紀半ばにムラーノで開発され16世紀の初頭には、さまざまなレースグラスがせいさくされた。あらかじめ無色透明のガラス種に乳白色のガラス棒を入れ、引き伸ばしながら捻ると、内部にパターン化されたレース模様をもつガラス棒(ケイン)が出来る。ヴェトロ・ア・レトルティ(捻れ文様)とヴェトロ・ア・フィリ(平行線文様)の2種類のケインを交互に配置して作られている。

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レースグラス・ゴブレット ヴェネチア 16世紀末
とても美しいレース模様、職人達の苦労が偲ばれます。

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レースグラス皿 ヴェネチア  17世紀
平行線のレースガラスを二枚重ね合わせることによりネット状に仕上がります。又只ネット状にするのみでなく一つ一つのネットに気泡が入れ込まれています。
とても大きなお皿に細かな細工が施されていました。

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ドラゴンステム・ゴブレット
龍の頭を付けたステムを持つゴブレット。イタリア語では「蛇形ガラス(ヴェトロ・ア・セルベンティ)」と呼ばれる。オークルと煉瓦色の細いガラス棒(ケイン)が内包されたステムは、たった一本のガラス棒を捻って作られている。両脇に付けられた鶏冠にも見える龍の飾りは、ピンサー(大きなピンセットのような工具)で挟んで細工される。
一本のガラス棒により施されたステムはとても見事で、職人のレベルの高さに驚かされました。

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アイスグラス手桶 ベェネチア 16世紀末
アイスグラスは、表面に氷を割った様なひび割れ模様を持ちます。まだガラスが温かいうちに一瞬だけ水に浸し、故意に亀裂を生じさせ、再度火口で焼き戻して割れ目をよく溶かし合わせてしあげます。

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カルセドーニオ瓶 ヴェネチア  16世紀
カルセドーニオは、「紅玉髄」のこと。大理石や半貴石を模したマーブルグラスの中でも、15世紀後半にヴェネチアで考案された。「ガラス製造術」の筆者アントニオ・ネーリは、その中で実体験をもとに製造法を詳しく記している。カルセドーニオは、素地に加えた銀イオンが熱の変化によって多様な色彩をもたらすことで生じる、いわゆる耀変ガラスである。自然光では自然石のような色合いだが、透過光で見ると夕日のような赤色を呈します。
とても魅力的な色合いでした。


Ⅱ 流出したヴェネチアンーー「ヴェンチア様式」の誕生

見目麗しく、繊細なヴェネシアン・グラスは、ヨーロッパの王侯貴族を虜にし、その求めに応じて、16世紀から17世紀、周辺諸国に輸出されていった。各地に渡った器は研究対象となり、それらを手本としたガラス製品が作られるようになる。職人の国外移住も、これに拍車をかけていく。ヴェネチア政府は技術漏洩を恐れて、数々の規律を課していったが、それを食い止めることはできなかった。その洗練された技と美は、物と人の双方を介して流出し、ヨーロッパ諸国で模倣されることとなる。そして「ヴェネチア様式(ファソン・ド・ヴニーズ)」と呼ばれるガラス製品が波及していった。
 特にハプスブルク家の統治下にあったオースツリアや、ネーデルラントといった低地帯では、ヴェネチアン・グラスと見まごうはかりの器が作られた。一方で、ドイツやスペインでは、その技術や技法を取り入れながら、各地の美意識に基づく新たな美が生み出されていった。ヴェネチアの影響は、ヨーロッパ諸国のガラスを、より優雅な造形へと導いていったのである。
 1612年に出版されたアントニオー・ネーリの「ガラス製造術(ラルテ・ヴェトラリア)」は、ヴェネチアン・グラスの技術流出を決定づけた。本書は、ラテン語、英語、フランス語、ドイツ語などに翻訳され、以後、ヨーロッパのガラス製造に翳りをもたらす結果ともなったのである。

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レースグラス蓋付ゴブレット ネーデルラント 16-17世紀
この杯は、おそらくネーデルラントに流れたイタリア職人によって作られた。まさにヴェネチア様式のレースグラス・ゴブレットである。

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レースグラス角形瓶 ヴェネチアあるいはヴェネチア様式 17世紀
角形をした携帯用ワインボトル。上部に付けられたふたるのリングに紐を通して提げ、野がいの宴会に使われたと言われる。

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ダイヤモンドポイント彫りフルートグラス ネーデルランド 16・17世紀

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ダイヤモンドポイント彫り手付瓶 ネーデルランド 17世紀後半
やや灰色がかった透明ガラスの素地を宙吹き成形した握手付瓶。胴体部の表面には、葡萄の実と葉模様、鳥と植物模様が交互に廻る。意匠から、ワイン入れと考えられます。胴部に熔着された紐状のガラスは、均等につまんで装飾的にはいされており、17-18世紀のフラスコに典型的な装飾です。イタリア絵画では、既に15世紀には、このようなフラスコ型のガラス製ワイン入れが見られます。しかしネーデルランドでは大きなピッチャーや細口瓶が一般的で、こうした形のワイン入れが普及したのは18世紀に入ってからだといわれます。

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アイスグラス・ビーカー ネーデルランド 1600-50年

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ドラゴンステム・ゴブレット ネーデルランドあるいはドイツ 17世紀末

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レースグラス・カンティール スペイン 17世紀末~18世紀初頭
カンタルーニャ地方に伝わる酒器で、注ぎ口に唇をつけず、直接口の中に酒を流しいれる。宴会で回し飲みをする時に使われた用です。胴体を廻るレース模様、随所に熔着されたガラス種など、装飾滴にはヴェネチアン・グラスの影響をうけながら、地方独自の造形も際立っています。

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エアーツイストステム・ゴブレット イギリス 18世紀
イギリスでは、16世紀半ば頃からムラーノの職人を招き入れ、ヴェネチア様式の器を作る工房が設置されました。しかし、1674-76年頃、自国で開発された鉛クリスタルグラスの登場は、イギリスのガラスをヴェネチアン・グラスからの脱却と、よりシンプルで丈夫な独自のスタイルへと導きました。18世紀半ばには、ヴェネチアの技法に基づきながら、ヴェリエーション豊なステムを持つゴブレットが開発されていきます。これらゴブレットは、ステムに空気によるレース模様を織り込んだ酒器です。当時イギリスではガラスの重量によって課税されたため、空気を利用した装飾法が工夫されました。エールやスピリッツ系の酒用とされました。

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エナメル彩ホップ文オベークツイストステム・ゴブレット イギリス 1765年頃
エール用のグラスにはエールの原料となるホップの実模様がエナメル彩色されています。この白エナメルを基調とした彩色は、18世紀l後半、ニュ-カッスル・オン・タインで活躍したベルビー家による。ウィリアム、メアリー兄妹は、上品なエナメル彩で腕を奮い、英国御用達の名誉も授かった。オベークツイストステムも、この兄妹の器の特徴です。
とても素敵な作品でした。


Ⅲ ヴェネチアと和ガラス

17世紀中頃、ヨーロッパ・ガラスの美しさにあこがれて、日本でも本格的なガラスの器作りが始まったといいます。16世紀から17世紀にかけて盛んに渡来した南蛮船は、時の権力者たちに、ガラス製品のほか、さまざまな珍しい献上品を持ってあらわれました。文献資料によれば、天文(1551)、周防の大名・大内義隆は、フランシスコ・ザビエルからガラス器、鏡、眼鏡等々を手渡されました。永禄12年(1569)、ルイス・フロイスは、足利義昭に「手の一つおれたるビードロ(ガラス)器を贈り、小田信長には「金平糖入りのフラスコ(ガラス瓶)を差し出したとあります。これらのガラス器が、正確にはどのような形状をし、どこで作られたものであるかは定かではありません。
 しかし、実際には日本各地から発掘された当時のヨーロッパ・ガラスの遺物には、ヴェネチア製、あるいはヴェネチア様式のガラスが数多くふくまれています。天正18年(1590)に落城した八王子城(北条氏照築城)からは、ヴェネチア製と見られる37個のレ-スグラス片が出土しています。17世紀の大阪城下町後からも、ヴェネチアン・グラス片が発掘され、八条宮家にゆかりの京都・曼殊院門跡には、17世紀ネーデルランド製ベェネチア様式の脚付杯が伝わっています。これらの品々は、ヴェネチアン・グラスが栄華を極めていたその時に、海を越え、はるか極東の日本にわたり、大名や宮家、そして富裕層にもたらされていた事を物語っています。その後文化7年(1810)には、和蘭通詞の馬場貞由が「硝子製法集説}を訳出しましたが、その一部は、ネーリの「ガラス製造術」が底本となっています。


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ヴェネチアン・グラスレースグラス破片(八王子城出土) ヴェネチア590年以前

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エナメル彩ガラス片(仙台城本丸出土) ヴェネチアあるいはヨーロッパ 17世紀

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ワイングラス(丸の内3丁目遺跡出土) イタリア 17世紀
東京、丸の内3丁目遺跡は、もと土佐高知藩・阿波徳島藩上屋敷があった場所であり、現代は東京国際フォーラムとして、日々人々で賑わっている。
このワイングラスは銀化と言い、表面が劣化して此の様な形となっています。

020

双耳脚付杯 ネーデルランド 17世紀
曼殊院に伝わる双耳杯。ドラゴンステム・ゴブレットから発展し、カップそのものに装飾紐が付けられたもの。ネデルランド製ヴェェネチアン様式の器です。

058

オベークツイストステム・ゴブレット 日本 18世紀
イギリスで18世紀中頃から流行したステム・ゴブレットを摸したと推測されるゴブレット。ヨーロッパの乳白色ガラスは、錫く用いて乳濁させたが、江戸期に乳濁材として使われたのは鉛粉であった。低温では乳濁効果があるが、高温では素地に溶け込んでしまう。この杯のツイスト模様は、今にも素地と同化してしまう直前の姿を留めており、消え入るつつある儚げな表情をみせている。

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ぎやまん彫り松に鶴文脚付杯 日本 18世紀後半~19世紀前半
ぎやまん彫りはとても繊細な模様が多く魅力的です。 

Ⅳ ヴェネチアン再興ーー19世紀イタリア

一時は「軽業師の妙技」とも称されたヴェネチアン・グラスも、ヨーロッパ各地でのヴェネチア様式の製造や発展とともに、その主導的立場を脅かされていった。特に、1670年代に開発されたボヘミアでのカリ・クルスタル、イギリスでの鉛クリスルや、さらにフランスでの窓ガラスと鏡の大量製造など、ヨーロッパ市場でのライバルの台頭は、大きな脅威となってのしかかった。
 各国がガラス産業の保護のために関税制度を整備すると、ヴェネチアのガラス輸出は激減し、倒産を余儀なくされる工房が続出した。加えてナポレオンのイタリア遠征、そして1797年のヴェネチア共和国の崩壊による打撃は計り知れず、1806年、500年続いた職人組合は解体、もはやムラーノ島のガラス産業は立ち行かない状況に陥った。
 この頃、僅かながら職人たちが活路を見出したのは、古代からルネサンス以降の名品のレプリカ制作である。19世紀半ば、各地で博物館、美術館の建設がブームとなり、古い資料の不足からレブリカが必要となったのである。これを契機に、ヴェネチアン・グラスの再興を願って立ち上がったのが、弁護士アントニオーサルヴィアーティと、修道院長ヴィンチェンツォ・ザネッティであった。1859年、サルヴィアーティはムラーノに古代ガラス復元とモザイクグラスを製造するための工房をひらき、また周囲の工房にも復興をよびかけた。ザネッティはガラス教育の整備に尽力し、1861年、ムラーノ・ガラス美術館を創設、翌年にはガラス職人の養成学校を設立した。こうした中、職人たちの関心は、考古学的興味から、次第に時代の要求に応える新しい作品の製作へと移行し、ムラーノ島のガラス産業は活気を取り戻していった。

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ヴェニス・アンド・ムラーノ・ガラス会社
スレイドコレクション婚礼用ゴブレットのレプリカ 1878年頃

15世紀ヴェネチアで作られた婚礼用ゴブレットのレプリカで、1878年のパリ万博に出品された。オリジナルは大英博物館に所蔵されており、彩色はおそらく絵付師ジョパンネ・マリア・オビッツォによると推測される。カップの側面を男性像と女性像が飾る。男性の横顔近くにAMOR・VOL・FEE(愛は信じるととを要する)との文字が書かれ、女性には花束がそえられている。

029

クラウンステム・ゴブレット イタリア 1875-80年頃
王冠を上下にかさねたようなステムを持つ。

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栓付瓶 ヴェネチア 19世紀初頭
胴体に葡萄と鳥のモチーフを交互に配した酒瓶。コルク栓には真鍮の天使像が付く、おそらくワイン用に思えます。19世紀にふさわしいスタイルに仕上げ直したものと考えられます。

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ティーカップ&ソーサー ヴェネチア 19世紀
とても美しい色合いと細工に魅了されました。





                     「ぶらぶら美術・博物館」 引用





 










crystaltakara at 10:14│Comments(7)TrackBack(0)

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この記事へのコメント

1. Posted by clash of clans gemmes gratuit   2015年08月19日 03:55
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