プラグアロマ「バズオフリキッド」雪の中の散歩

2011年02月15日

琳派芸術展

出光美術館で開催されている「酒井抱一生誕250年 琳派芸術ー光悦・宗達から江戸琳派」展に行ってきました。

此の展覧会は2月6日までの「煌く金の世界」と2月11日より3月21日までの「転生する美の世界」との二部の展覧会により構成されています。私は最終日の6日に行きましたので、随分の盛況振りでした。驚いたのは図録が売り切れになってしまっていた事です。

桃山時代が終末する頃、その絢爛たる黄金文化を背景にして、優雅な琳派芸術が京に息吹をあげました。琳派の始祖と仰がれる本阿弥光悦や俵屋宗達らは、王朝時代の装飾美を豊かに翻案し、新時代の幕開けを告げる斬新な造形美を生み出しました。それは後世の京に生まれた尾形光琳や、江戸で活躍した酒井抱一らの新たなる創造を促しました。

第1部の「煌く金の世界」では宗達が手懸けた金銀の煌びやかな装飾による和歌巻、扇面画、さらに大画面の草花金地屏風また琳派絵師たちにとって一つの主要なジャンルであった、水墨画が展示されていました。


一章 美麗の世界

本阿弥光悦と俵屋宗達は、王朝時代の雅な美意識を踏まえながら、それを豊に翻案して、新時代の幕開けを告げる斬新な造形美を生み出しました。宗達の金銀泥下絵に光悦が筆を揮ったゆうびな和歌巻では、各々の闊達な個性が見事に調和をみせています。また金銀のきらびやかな切箔、砂子などが施され、華麗な彩色を用いて描かれた扇面画など、小画面にこめられた美麗の世界が広がります。


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蓮下絵百人一首和歌まき断簡
本阿弥光悦/書  俵屋宗達/下絵

宗達の下絵は、蓮の葉が水面に浮かぶ様子から始まり、蕾が出来、花が開き、やがて枯れていくという蓮の一生をテーマにしています、生命の輪廻転生を予感させる作品となっています。
素晴らしい下絵に書かれた美しい文字。此の様な作品を見ると何時も美しい和紙に仮名文字を美しく書いてみたいと思います。

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梅に柳図扇面 伝 俵屋宗達

いんげん豆図扇面 伝 俵屋宗達

画面の余白部分に墨書で下地装飾の指示が入れられている珍しい作例です。梅に柳図扇面はとても穏やかな感じのする作品でした。


二章 金屏風の競演

京の街で絵屋工房を興した宗達は、次第に大画面の金地屏風を手懸けるようになります。特に寛永年間初期頃より、華麗な草花図屏風を描いています。伝宗達筆「月に秋草図屏風」に示されるように、”天”の月を描きつつも、”地”の具体的な指標となる土坡・岩・水流・遠山などを描かず、抽象的ともいえる”天地未分化”の金空間を草花モチーフのみで構成し、これを豊かな野辺の広がりに変質させています。この金地構成に対する独創的な解釈は、狩野派など同時代の絵師とも明らかに異なる斬新なものといえます。

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草花図屏襖 「伊年」印

芥子の花を中心に野アザミ、ハチク、バラ、モロコシ、葉鶏頭、立葵がえがかれています。芥子がまるでこの襖のクイーンの様に思え、構成が西洋画の様に思いました。一つ一つの花の描写が見事で本物の花を見ているかの様な思いにかられました。

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四季草花図屏風 「伊年」印

六曲一双の中屏風に、六十七種もの草花が描かれています。四季の配列に従って、右隻から左隻へ向かって春から冬の草花が描かれています。一つ一つの草花を観ていくのがとても楽しみな作品です。此の屏風は江戸時代に描かれたものです。遠く江戸の時代より現代まで命を繋いでいる花々の歴史をみる思いがします。

三章 光琳の絵画

京の高級呉服商・雁金屋に生まれた尾形光琳は、琳派絵師の中でも一際鋭いデザイン感覚を持っています。光琳が活躍した元禄ー正徳年間は、宗達が歿した寛永末期頃からほぼ半世紀が経ち、宗達は既に伝説的な存在になりつつありましたが、光琳は宗達画、あるいは宗達派(俵屋工房)の草花図や、同時代の諸派に学んで独自の絵画を探究しました。そんな光琳絵画の魅力は、主題の意味、背景への深い洞察の上に、大胆で揺るぎない構図を用いて、緊張感ある世界を構築したところにあります。

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紅白梅図屏風 伝 尾形光琳

左隻には、前後に立ち並ぶ紅白の梅樹が、複雑に枝を絡めるようにえがかれています。右隻には、右端上部より軽やかに垂下する白梅の細枝が描かれ、樹幹は一部のみ描写されています。
左隻の華やかさと対照的な右隻の詫びた感じがとても魅力的で、奥深い世界を感じさせます。


四章 琳派の水墨画

琳派絵師たちは、水墨画を一つの主要な制作ジャンルと捉え、この分野に腕を揮っています。宗達の水墨画には、モチーフの質感や量感を表現することを意識した高度な墨技があり、光琳には京の上層町衆の知的サロンが好む軽妙な戯墨のユーモアがり、抱一は淡い墨色を通して、みずみずしい草花の姿をたおやかな風趣で表しています。琳派の各絵師たちの水墨画の粋。琳派本来の極彩色の世界とは一見異なる世界のようですが、絵師たちの表現力は、豊かな墨色を通してさまざまな色彩を思い起こさせてくれます。

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龍虎図 伝 俵屋宗達

右幅には画面下部からぬっと顔を出す龍、左幅には画面上部から龍を見下ろす虎の姿が描かれています。聖獣であるはずの龍と虎が、親しみやすい人間味に溢れる表情で描かれている所にとても心ひかれまして。
可愛らしささえ感じます。

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白蓮図 酒井抱一

淡い墨色で描かれた白蓮がとても崇高な美しさを感じます。酒井抱一の作品にはとても優しさを感じられ、心惹かれます。
第二部では多くの作品が展示されるそうなのでとても楽しみです。


琳派の工芸

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赤楽兎文香合 本阿弥光悦

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銹絵染付金銀白彩松波文蓋物 尾形乾山

今回の展覧会で尾形乾山の作品が展示される事をとても楽しみにしていました。モダーンな色合いの中になんとも言えぬ温もりを感じます。

外側は、無釉の素地の上に金、銀、染付、白彩を重ねて、風に揺られる松林が描かれており、白化粧をほどこした内側には、染付と金彩で、打ち寄せる波を描いてあります。
外側、内側の両面で広大に広がる海辺の景色が連想されます。

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色絵芦雁文透彫反鉢 尾形乾山

夕映えに染まる雁の群れを金彩であらわし、水辺にたなびく霞を銹絵で描き添え、口縁には霞肩の透かしを入れています。
水辺に舞い踊る雁の群れを実際にみているかの様な思いに捕らわれる様な思いがします。

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色絵龍田かわ文透彫反鉢 尾形乾山

急流の波に翻弄される紅葉の、水に濡れて照り映える色合いが、鮮やかな赤、緑と、葉脈に入れた金彩によってあらわされている。
荒々しい流れに紅葉が浮き沈みする様を目のあたりにするかの様な迫力を感じます。
尾形乾山の作品は器の世界にかかわらず、あたかも大きな風景を見ているかの様な思いがします、此の事がきっと惹きつける魅力となっているのですね。

琳派芸術の華麗さ、そして心落ち着く侘びの世界を堪能する展覧会でした。

http://www.idemitsu.co.jp/museum/














crystaltakara at 14:29│Comments(0)TrackBack(0)

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