2013年04月
2013年04月20日
猫のしっぽ カエルの手 感謝の心で
粉雪が風に舞う京都 大原 時折柔らかな日差しが山里に降り注ぐ。立春をすぎた雪は春が近いしるし。ベニシアさんが暮らす古民家もうっすらと雪化粧。
早朝キッチンに現れたベニシアさん 何時もの一日が始まる。朝食作り、メニューはベニシアさん得意のマッシュルームトーストだ。子供の頃、母親から習ったマッシュルームトースト、ベニシアさんの4人の子供達にとってもおふくろの味だ。今日は孫のジョー君の為に。中学二年生になったジョー君、学校のある日は此の家から通っている。ベニシアさんの朝は家族の為の時間。皆を笑顔で送り出す。成長したジョー君に大学生になり独立した息子 悠仁君の姿が重なる。日々の暮らしは当たり前の繰り返し、それがとてもありがたい。家族で大原に引っ越してきて17年目。築100年を越す古民家の暮らしは当初驚きと戸惑いの連続だった。家族そうでで改装し住み心地の良い今の家を作り上げた。
ベニシアさんが心から尊敬する友人 前田敏子さん。ベニシアさんが子育てに追われていた頃から支えてくれた前田さん。日本ならではのしきたりや習慣を教えてくれた。今は友情を超え家族の様な絆で結ばれている。今日は前田さんと一緒に米のとぎ汁で床を磨く。米ぬかにはワックスの様な艶出し効果があるという。前田さんの暮らしの知恵には何時も驚かされる、かって長年の汚れが溜まっていた古民家、少しづつ綺麗になる事を楽しみに磨いてきた。ベニシアさんの暮らしを誰よりも見守って来たのは前田さんだ。前田さんに褒められると嬉しくてちょっと照れてしまうベニシアさん。
家の仕事を終えたらお楽しみのガーデニング タイム。庭作りに終わりは無い、毎年欠かさず仕事が何時もベニシアを待っている。大原に住む辻典子っさん、ベニシアさんの一番のガーデニング仲間。庭仕事が大変な時は何時も助けてくれる。植物が生い茂っていない冬、庭は堆肥を入れ、草取りをして土を豊かにする。花が咲いた時を想像して庭のデザインを考えるのもガーデニングの楽しみ。一人でやるのも悪くないけれども二人でやれば作業ははかどる。庭作りのアイデアも交換出来る。植物は生きているだから庭が教えてくれる事が沢山ある。
Venetia's Herb Note 四季の庭
どの季節がきても大地はその知恵を私達に分けてくれます。ゆっくりと開く春の蕾は希望と再生のメッセージを私達に伝えます。
幸せ踊る夏。私達に少しの違いがあってもそれぞれの美しさを持っている事。そして何時か花開く事を示してくれます。
静寂が漂い、夜が長くなり冷風が吹きはじめる秋。それは熟慮の時期。花は散りますが秋の葉は既に冬支度を始める様に。
冬は休息の時。庭は耐え忍ぶ事を教えてくれます。果報は寝て待てと言う様に。
庭で育つのは植物だけではありません。人間の精神も育まれるのです。
晴れ間が顔を覗かせた午後、なんだか美味しそうな匂い。夫の正さんがどうやらベーコンを作り始めたらしい。山岳写真家の正さん、家にいる時はベニシアさん以上に手作り暮らしをエンジョイしているのだ。料理人としての経験もある正だん、アウトドアクッキングはおてのもの。ベーコンの味付け用の液も自分で造る。時間を掛けて丁寧に、なかなかの凝り性なのだ。
越してきた当初ボロボロだった古民家を正さんは自力で改修した。山に囲まれて暮らすなかで大変な力仕事は全て正さんが担っている。正さんがベニシアさんと結婚したのは21年前。山岳写真家としてデビューした頃で、以来ベニシアさんの本の写真や翻訳なども担当して来た。「ベニシアのすごいなと思う所は自分で考えて人が何を言おうが勝手やるんですね。それが長い間みていたら結構仕事に繋がっている。そう言う部分で僕も影響を受けていますね。ちゃんとやっている実行力の有る人だなと思って。」二人で築いて来た此の暮らしはお互いの協力があってからこそと正さん。
一週間前に漬け込んでおいた肉を塩抜きし、燻製器へ。チップもお手製。チップに火を点けて4時間ほど燻す。手間を惜しまず、待つことを楽しむ。そうする事で日常が特別の日に変わる。ベニシアさんも正さんも暮らしを楽しむ達人だ。
ベニシアさん週末の早朝 散歩かてがれ朝市に行くのが楽しみ。14年目を迎える朝市、ベニシアさんは始まった頃からの常連だ。京野菜を中心に新鮮で美味しい食材が手に入る。口コミで広がり、今では遠方からも人が訪れる。ベニシアさん今日は鍋に入れる食材を買いに来た。そして来て一番嬉しい事は大原の仲間に合うことだ。農家の渡辺夫妻、知り合った頃はまだ二人共学生だった。有機農業をしたいと15年前 大原にやって来た二人をベニシアさんはずっと応援して来た。今では農業を目指す若者たちのリーダーとして、そして子を育てる
親としてしっかりと大原に根付いて暮らしている。次の時代をになう人達が集まる大原、素晴らしい所だとベニシアさんは思う。
Venetia's Herb Recipe トマトハーブ鍋
今日は日頃お世話になっている友人を招いてホームパーティをする。そんな時ベニシアさんはよく鍋でもてなす。土鍋にみじん切りにしたにんにくを入れ、オリーブオイルで軽く炒める。白ワイン、サフラン、塩、こしょうで下味し水と蛤を入れてだしを取る。トマトピューレを入れ沸騰させる。野菜や魚などの具材を食べやすい大きさに切り、器にもる。湯葉も朝市仲間の手作り、安全で豊かな食材があるからベニシアさんの料理は美味しいのだ。煮えるのに時間が掛かる具材から鍋に入れていけば出来上がりだ。トマトの風味がきいたベニシアさんの鍋に正さんの手作りベーコン。日頃世話になっている仲間へ感謝の気持ちを籠めて。娘のジュリさんと孫のジョー君、仲良し親子はベニシアさんの喜び。自分の手で作り出す心豊かな時間。ベニシアさんの大原暮らし、そこには何時も大切な家族や仲間達がいた。
トマトハーブ鍋(材料4人分)
白菜 大根 4/1個、春菊 1束、九条ネギ 1束、トマト 2個、豆腐 1丁、湯葉 3枚。にんにく 4個、鮭 たら 2切れ。 ハマグリ 4個、サフラン 適量、オリーブオイル 適量、白ワイン 適量、塩、胡椒 適量、お湯 400ml、トマトピューレ 大さじ2、バジル 20g
Venetia's Essay 魔法の言葉
今日はいい天気、空も青く、そよ風がカエデの木々を楽しそうに揺らしています。私の心の中で「ありがとう」と言う魔法の言葉が響きます。何年かを振り返り辛い時は力となり、喜びの時も支えてくれた友人達の顔を思い出します。私の胸は皆さんへの感謝の気持ちで一杯です、此の思いを忘れる事はないでしょう。一番に感謝すべき家族をつい当たり前と思い批判する事もあるでしょう。だからこそ「ありがとう」の言葉を忘れない様に、お互いに与え合うという特別な才能を誰もが持っているのですから。早朝の太陽がスイセンに振り注ぎます、暖かな日差しが地面から緑の芽を引っ張り出そうとしている様です。私はしゃがんで庭の草取りを始めます。春の伊吹を感じます。
ありがとうと言う魔法の言葉を心に抱いて、流れゆく季節の中でベニシアさんの日々は繋がっていく。