2012年07月

2012年07月31日

猫のしっぽ カエルの手  お茶のある幸せ

日射しはいつの間にか初夏のものに変わった京都・大原。新しい季節の訪れにさまざまな命が輝く。

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ベニシアさんが暮らす築100年の古民家、今年も庭の植物達がいっせいに花ひらいた。ベニシアさんにとって今は一番庭仕事が楽しい時。「朝早く起きてハーブの世界に入ると癒される」。日ごと様々な表情を見せる庭、この季節は一年間の庭仕事の成果が現れる時でもある、今年は最高だ。

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レモンバーム

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フェンネル

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ポリジ

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クレマチス

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ジキタリス

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ミヤコワスレ

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キンセンカ

草花の手入れだけがガーデニングではない、今日はなにやらペンキぬり。「古い一輪車が穴が空いているので小さな庭を作ろうと思って。バジルを一杯植えようと思っています」。今迄、庭仕事で活躍していた手押し車、ペンキを塗ってコンテナガーデンにする。めったに物を捨てないベニシアさん、使える物はなんでも再利用する。割れた鉢で穴を塞ぎ、バーベキューの網をかける。リサイクルはアイデアしだい。堆肥を混ぜた土を入れ、後は植物をうえるだけ。これからは虫が多くなる季節バジルはトマトの傍に植えると虫除けになるという。ブッシュバジルやダークオパールバジルなど珍しいバジルもあわせてバジルガーデンを作る。どんなに小さな空間でもベニシアさんの手にかかれば庭に変身してしまう。完成したバジルガーデン、これなら天候や日射しの具合で移動可能。

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ブッシュバジルとダークオパール

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シナモンバジル

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スィートパジル


八十八夜を過ぎるとベニシアさん新茶を買いに出掛ける、やって来たのは京都市和束町。京都と言えば日本でも名高い宇治茶の産地。和束町は古くから香り高い高級煎茶を栽培し、今も宇治茶の四割を生産している。江戸時代に京都御所にも茶をおさめていた由緒ある茶どころ。ここに安全で美味しいお茶を作っている人がいると聞いたベニシアさん、一度訪れてみたいと思っていた。

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迎えてくれたのは茶園の五代目の上嶋伯脇さん。「江戸時代から営んでいます、此処は鎌倉時代からお茶を作っている町です。山なので茶畑が植えられる範囲の傾斜の所は全部茶畑となっています。山の特徴として、水はけが良く、朝霧がたち、寒暖の差が激しいので、しっかりとしたお茶が出来ます」。ハーブティーはもちろんお茶と名のつく物には目がないベニシアさん、話しは尽きない。ベニシアさんを収穫直前の茶畑に案内してくれた。一番茶となるのは今年最初に出来た新芽。なかでも一芯二葉と呼ばれている部分は柔らかく、お茶の爽やかな味の決め手となる。

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「私にってお茶はハーブと思っています。一番茶と二番茶は味変わりますか?」「変わります。一番茶は昨年の8月から肥料分とか自然界の養分を沢山蓄えているので、一番茶はアミノ酸とかペラニンとか豊富に含んでいるので、頭が良くなるとか疲れがとれるとか言います。二番茶は短い時間に葉が出てくるので、夏になり気温が上がるとお茶の成分のカテキンが増殖し、病気になりにくいとか、抗がん作用、抗菌作用などの効果があります。」暮らしに役立つ植物をハーブと考えているベニシアさん、お茶はやはりハーブ。

茶農家にとって新茶を作る此の時期は大忙し。茶葉は成長が早く、一日でも遅らせると品質が悪くなるので、スピードが勝負なのだ。緑茶は紅茶やウーロン茶とは違い発酵させないので収穫された茶葉はすぐに工場に運ばれて蒸機にかけられる。煎茶は此の蒸しが命。最近は渋みの少ない深蒸茶が多く出回っているが、渋みを大切にするこの辺りは蒸し時間が短い。蒸された茶葉はたたき、もみという工程を経てじょじょに煎茶の形になって行く、昔から変わらない方法。出来上がる迄3時間程かかる。

「荒茶と言われるもので、工場の完成品です。」 荒茶とは茎や粉も入った状態の物。これを茶問屋が仕入れ茎などを取り除き、ブレンドして製品にするのだ。ベニシアさん出来上がったばかりの新茶をいただく事に。

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一せん目は80°位の湯でいれる。緑茶にはいっているペラニンが甘味を出してくれるのだ。「一せん目はお茶をひらかせる為に一分位おいて、少量のお茶で味を楽しんでもらいます。」 二せん目は少し熱い湯で、するとカテキンがすーっとした渋みをだしてくれる。「こういう楽しみ方が出来るのが京都のお茶のあじわいかたなのです。」
ベニシアさん新しくお茶の楽しみ方を知った。

Venetia's Herb Note  緑茶

雲が明るくなったかと思うと太陽が山の上に顔をだし、谷間に初夏の暖かな日射しが降り注ぎました。朝霧が乾くのを待って茶畑の柔らかい緑の葉が摘み取られれ行きます。紅茶も緑茶も最古のハーブティー どちらも同じチャノキからとれた葉を煎じたものです。アジアでは昔から日常的に呑まれていました。その茶葉は心臓病や脳卒中を予防すとといわれています。12世紀にチャノキを日本に持ち帰った栄西禅師は、お茶は五臓によく脳機や骨密度を改善し消化不良や疲労に効くと「喫茶養生記」にしるしています。
「お茶と水はお互いを活かす」 ジェイソン・ゴッドウィン

すっかり新茶を堪能したベニシアさん市内に戻って来た。お茶について気になっている事がまだある、何故日本では紅茶を作らないのか。伏見区にあるお茶屋を訪ねた。武村龍男さん、京都で代々続く茶葆の五代目。紅茶と緑茶の違いは製法だけ、

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武村さんは12年前から日本の茶葉を発酵させて紅茶を作っている。武村さんは京都の宇治茶や玉露を使い日本ならではの甘味が感じられる紅茶を目指している。紅茶については一家言持っているベネシアさん興味しんしん。ベニシアさんが選んだのはヤブキタとゴコウの茶葉を使った紅茶。武村さんは茶葉のブレンドを手掛ける茶匠でもある。緑茶も紅茶も茶葉をブレンドする事で深みのある味や香りを出して行く、武村さんがブレンドしてくれた紅茶にベニシアさん期待が膨らむ。紅茶もお茶もハーブティーも大好きなベニシアさん、茶文化のある国に暮らせて幸せだと何時も感じている。

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Venetia's Herb Recipe  抹茶クッキー

材料(25枚分) 抹茶 大さじ2、ベーキングパウダー 小さじ1.5、塩 少々、ブラウンシュガー 大さじ4、水 大さじ1.5、小麦粉 175g、無塩バター 120g、卵 1個

小麦粉をふる、普段はココアパウダーを使っているベニシアさん 今日は其のアレンジ。
抹茶を入れる、ベーキングパウダー、塩を加えたらよく混ぜる。
鍋にバター、砂糖、水を加え弱火で溶かしたらさます。
玉子はよくかき混ぜておく。
キッチンに立つと健康になると何時も言うベニシアさん、卵とバターを粉に入れて混ぜる。
オーブン皿にペーパーをひき、生地をスプーンですくい形をととのえながら並べる。フォークで生地を少しおさえる。こうすると焼き上がった時にアクセントになる。
後は200°のオーブンで15分焼けば出来上がり。

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Venetia's Essay  アフタブーン・ティー

鳥の歌声が響き渡った後、庭は静寂に包まれました。焼き立てのクッキーの薫りがキッチンから漂っています。今日は友人を呼んでのお茶会をするのです。私は子供の頃、祖父母が暮らすイングランド北部の古い大邸宅に時々遊びに行きました。午後4時になると昔ながらのアフタヌーンティーを楽しんだものです。スコーンや上品なサンドイッチを摘まみながら祖父の若い頃の冒険話に耳を傾けるのでした。私は一番上等な陶磁器を取りだしながら祖父が教えてくれた詩を思い出しました。
「寒い時はお茶が温めてくれる 暑い時は冷ましてくれる 悲しいと晴れやかにしてくれる はしやぎ過ぎると落ち着かせてくれる」 ウィリアム・グラッドソン (元英国首相)

午後 友人達がやって来ました。何時も紅茶や日本茶について情報交換する友人達。オリジナルプレンドの紅茶でもてなします。

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お茶が与えてくれる一番大切な事、それは心のゆとり。





                猫のしっぽ カエルの手  引用














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2012年07月25日

うさぎカフェ & TWG Tea

自由が丘にあるうさぎカフェに行ってきました。

20羽ほどのうさぎがいました。部屋の中に入るとうさぎの香りがして、とても懐かしい思いがしました。

遊びたいうさぎがいればケージからだしてもらえます。私達が行った時には2羽の姉妹うさぎが遊んでいました。

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餌を与えると私も私もとあっと言う間に生野菜をみんな食べてしまいました。

ケージの中にいるうさぎとも、入口を開けて触ったり、写真を撮ったりする事が出来ます。

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凛々しい黒いうさぎさん、うさぎには皆名前がついています。

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生まれたばかりの赤ちゃん。こちらではうさぎの販売も行っています。

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ただいまグルーミング中。うさぎのグルーミングはとても可愛らしい。

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やっと活発なうさぎさんを抱っこする事ができました。

皆とても元気です。マージュが亡くなってから 初めて触れ合ううさぎ達、とても懐かしく可愛らしく思いました。

http://raagf.com/


うさぎカフェを後にしてTWG Teaにランチをとりに行きました。まずはいって驚いた事は壁一面に紅茶の缶が並んでいる事でした。何種類紅茶があるのかしら。

席にすわりました。壁には一面 絵が掛けられていて、ヨーロッパのお店に入ったかのような思いがします。

好きな紅茶を注文できるのですが、膨大な数の紅茶があり 迷ってしまいます。だいたいのこのみを伝えると希望にそった紅茶を選んでいただけます。

まず 紅茶が運ばれてきます。

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このみ通りの味。とてもさわやかな紅茶です。

次に金目鯛のポワが運ばれてきます。

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皮はパリパリして中がジューシーな金目鯛とても美味しい。お魚の下には沢山の野菜が、とてもヘルシーです。

次にはデザートが運ばれて来ます。私は大好きな洋ナシのタルトを注文しました。

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とても美味しい。紅茶とのハーモニーが素晴らしい!!

とても満足の出来るランチでした。紅茶もお料理も素晴らしい でももっと素敵なのは一流ホテルかの様なサービスを受けられる事です。

また訪れたいと思いました。

http://tabelog.com/tokyo/A1317/A131703/13110903/


ランチを終えた後 Amiciへ とても可愛らしい浴衣がありましたが、生憎 男の子用は在庫なしに。女の子用の浴衣が残っているだけでした。娘はなんとその女の子用の浴衣が宝には似合うからととりよせてもらう事になりました。近日中 ピンクの帯のついた浴衣を着る宝がみられそうです。








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2012年07月22日

ラフォーレ原宿


19日よりラフォーレ原宿が全館バーゲンと言う事で娘と行って来ました。

娘がよく良くお店に行くと、なんと50%オフ、娘は以前より欲しかったブラースを見つけご満悦でした。

私がよく行くお店に立ち寄ると、タイムサービスが行われていて、なんと全品70%オフとか。私もチュニックを買ってしまいました。やはりこれ位安くならないと買う気にはなれません。

ラフォーレ原宿はイベントのような感覚でセールを行っているので若い人の購買意欲を高めているみたいです。

買い物が終わった所で、たまプラーザに戻り、ゆっくりとランチをいただきました。

行ったのはアフタヌーン ティー。7月、8月と毎月旬のメニューを楽しめます。私達がいただいたのが、旬のメニュー 夏野菜のグリルのカレーでした。お野菜も豊富で暑い時期には食欲が増していいですね。

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セットメニューにしていただいて、アイスティーと桃のショートケーキをいただきました。桃好きの親子にとって桃のショートケーキは本当に美味しかった。又、食べに行きたいと思いました。

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2012年07月15日

七色トウガラシの寄せ植え

暑い日が続きますね。もう梅雨明け?なんて思ってしまいます。

今日は七色トウガラシの寄せ植えを作りました。

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七色トウガラシを中心に左右対称に千日紅、アキランサス、ペンタスを植え込みました。どの花も夏色満開です。やはり気温が高いとお花が傷みやすいですから、夏に強いお花を使って寄せ植えを作りました。


そしてもう一点。玄関にも小さな寄せ植えを作りました。

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愛らしいピンク色のペンタスと植物の名前を忘れてしまったのですが、白い葉脈の美しい植物を植え込みました。よく見ると白い小花が咲いています。


暑い季節になると寄せ植えに向くお花も少なくなってしまいますが。新しいお花を植え込むととても新鮮で心がときめきます。





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2012年07月12日

琳派・若冲と雅の世界 展

16日まで横浜、そごう美術館で開催されている「琳派・若冲と雅の世界」展に行って来ました。

Ⅰ 華麗なる琳派

江戸初期の京都で俵屋宗達が確立した琳派様式。宗達は平安以来の伝統的なやまと絵を基盤にしながら、斬新な構図や明快な画風で心機軸を開いた。金銀泥絵の草花図、物語絵、水墨画などその画域は多岐にわたる。
尾形光琳は約百年を経た宗達画に影響を受け、より洗練された画風で一世を風靡した。高級呉服商、雁金やの二男に生まれた光琳は優れた意匠感覚に恵まれていたのである。光琳は続く渡辺始興や深江芦舟は琳派への高い期待に応えつつ、それぞれに独自の足跡を残した。江戸後期の中村芳中も琳派に私淑し、大阪を基盤にユニークな作品を多く手掛けた。
これらの京(上方)琳派に対し、江戸後期の江戸で新たな琳派様式を描いたのが、酒井抱一を筆頭とする江戸琳派である。抱一や弟子の鈴木基一らは光悦を慕いつつも、江戸らしく酒脱で繊細な作風を得意として大きな人気を博した。近代には上坂雪佳が京琳派の復興を唱え、その優雅な画風は海外でも広く評価されている。
琳派三百年の系譜はこのように、多くの画家、作品によって綴られる。京都と江戸、まだ江戸前期から後期へ、さらに近代へと。土地柄や時代により変容しながらも貫かれてき美意識。風趣にして清新な琳派は今なお渡したちを魅了して止まない。

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忍草下絵和歌巻断簡  本阿弥光悦 書  俵屋宗達 下絵

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簾に秋月図  渡辺始興

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朝顔図  中村芳中

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表面

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裏面

鹿楓図団扇  酒井抱一

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月に葛図  鈴木基一


Ⅱ 若冲の魅力

京都で伊藤若冲ほど話題性に富む画家はいないのではないだろうか。錦小路の青物問屋の主人でありながら、家業に専念せず趣味の絵画制作に没頭、狩野派を修めたのちは元、朝などの中国古画を独学で学んだ。ついに四十歳を機に家督を弟に譲り、画家として第二の人生を歩む。卓越した描写力に支えられた独創的な画面は、江戸中期の京都画壇に旋風を巻きおこした。特に鶏を好み、生気溢れる鶏図を多く描いていることが知られている。

若冲は、相国時に奉納した濃彩で緻密な「動植綵絵」と仏画の計三十三幅が有名だが、一方水墨による屏風や掛軸も多く手掛けている。高度な技法を駆使した水墨表現や意表をつく構図、愛らしい表情など、優れた手腕は墨のみであっても冴え渡り、若冲独自の水墨世界を形成している。最晩年は深草の黄檗宋石寺前に墨、絵一枚を米一斗と代えたというエピソードも残るが、その多くは水墨画だった。

初期の「雪中雄鶏図」から八十二歳で描かれた「鶏図押絵貼屏風」まで。写実を極め、羽の一筋も見逃さない鋭利な表現から転じ、飄逸な水墨画に筆を躍らせる若冲。その境地に想いを馳せ、ともに分かち合いたい。

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雪中雄鶏図  伊藤若冲

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鶏図押絵貼屏風  六曲一双  右隻 伊藤若冲

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鶏図押絵貼屏風  左隻  伊藤若冲

鶏の尾羽の表現が力強く、生き生きとして素晴らしい作品でした。左隻の鶏に子供の姿が描かれていて、微笑ましさを感じる作品でもありました。何度となく鑑賞してしまいました。


Ⅲ 祈りの美

神仏への真しな祈りの心  人智をこえた存在へのい敬の念は、優れた宗教美術を育んだ。細身コレクションの出発点であり、今なお根幹を成すのが、仏教・神道美術の数々である。仏像や仏画として表わされて仏。その慈悲にみちた表情、崇高な姿は苦しみ多い世に生きる人々を幾度も救い、慰めてきた。経巻に描かれる小さな仏も、掛軸として衆目を集めた大きな仏も、切実な祈りを何百年も受け止めてきたのである。
仏だけではない。中世には「日本古来の神の本当の姿は仏である」という、神仏習合の宗教観が定着し、神道と仏教の両方の要素を併せ持つ造形が多くつくられる。「線刻十二尊鏡像」のように、本来ご神体とされる鏡に仏の姿が刻まれる例も多く、当時は神と仏は一体化したものとして理解されていた。
密教で使う鈴や堂内に懸けられた華曼など、仏具に施された華麗な装飾文様。かざりを尽くすことが仏の意にかくとされ、極楽往生を願う高貴な人々は競って豪奢な荘厳具を奉納した。尾長鳥や宝相華といった、仏を讃える花鳥はエキゾチックな趣を湛えている。金色や豊かな彩色で彩られた仏具に、王朝貴族の好みと作り手の高度な技法がうかがわれる。

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線刻十二尊鏡像  重要文化財

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金銅春日神鹿御正体  重要文化財

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金銅透彫尾長鳥唐草文華鬘  重要文化財


Ⅳ 王朝と雅と源氏絵

平安時代、王朝文化が花開く頃、貴族に興った物語文学の世界。物語を語り聞かせる手助けに押絵がえがかれるようになり、絵巻物や冊子の押絵としての「物語絵」が誕生する。中でも千年前に書かれた「源氏物語」は物語絵の発展を大きく促した。
「源氏物語」が多くの読者を得るに従い、各帖の名場面が絵画化される。複雑なストーリーの解釈に、押絵は極めて有用であった。それらは次第に「源氏絵」としてやまと絵の中でも重要な画題として定着する。中世以降は物語本文を伴わずとも「源氏絵」だけて物語を思い浮かべ、楽しむこともあった。桃山時代から江戸時代にかけては小さな色紙から大きな屏風まで、王朝の雅な宮廷生活を偲ぶよすがに、さらには大名婚礼調度などの意匠に「源氏絵」は広く取り上げられた。
「伊勢物語」も多く「伊勢物語絵」として描かれている。「源氏物語」と異なり和歌を主体とした短編集の「伊勢物語」は、格段ごとの特徴が明瞭で、場面を捉えるのが比較的容易であったのだろう、江戸時代には特に琳派が好んで「伊勢物語絵」を描き、また「伊勢物語かるた」も普及していった。
文学と美術の出会いが育んだ物語絵、物語意匠の数々。描かれた美男美女の吐息が聞こえるようである。

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扇面夕顔蒔絵引出箱

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伊勢物語かるた


Ⅴ  かざりの意匠

「かざる」は「かざす」に通じ、一節に古く花を髪にさすことに由来するという。神近く仕える女性が性なる力を得る時、身をかざったのである。
平安時代以降、神に奉納する鏡の裏には、美しい草花や吉祥模様が施された。円の中の小宇宙は切ない祈りを帯びていて悲しい。一方、衣・食・住の調度や着物のかざりは楽しく、工夫が凝らせれている。特に桃山から江戸初期にかけて、工芸の世界は飛躍的に進歩する。染織や蒔絵んど、高度な技法が発達するのに伴い、その意匠もかってないほどに豊かな広がりをみせた。
例えば、聚楽第伝来とう七宝の「夕顔文釘隠」をはじめ、七宝による建築金具の数々。釘隠や襖の引手といった。本来脇役の調度が込められたこだわりに、注文主、建築家、金具家の好みが見え隠れする。
江戸時代に幕府より式楽とされた能。各大名家は競って華麗な能装束を拵え、上演に用いた。舞台映えする鮮やかな意匠、染め、縫い、織りなどに尽くされた手技が優美である。
さらに、海外でジャパンと称される日本特有の蒔絵。食の器や煙草盆など、手近な調度が描かれた金の模様は流麗で、華やいだ空間の演出にふさわしい。機知に富み、実用と装飾を兼ね備えた調度。遺されたきた「かざり」こそ日本の美の本質である。

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芦屋十一面観音図香炉釜

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藤蒔絵提重

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夕顔文釘隠


素晴らしい美術品が多く展示され素晴らしい展覧会でした。中でも若冲の作品には感動しました。


















crystaltakara at 16:29|PermalinkComments(0)TrackBack(0)